ワーママってズルイよね、ウザイよね、
と言われた時、皆さんはどのように対処していますか?
でもこれ、辛かった。
明らかに相手側の発言が偏っていると思う時に、何も言えずに黙ってること。日頃、髪の毛を振り乱しながら育児に家事に仕事に翻弄している身としては、本当にやるせない気分になりました。
過去記事「時短はズルいのか、ワーママはうざいのか」を予想以上に多くの方に読んでいただき、多くの会社で肩身の狭い思いをされている方が多いのではないかと改めて思った次第です。
最近では、相手や状況によって対応を使い分けるようにすることで、モヤモヤを抱え続けることはなくなりました。相手にワーママの大変さを理解してもらう必要はありませんが、少なくとも無理解な言葉を投げつけられないように。
今回は、不運にもズルイ論ウザイ論に晒されてしまった時に、私なりにどう回答しているか、時短ズルイ論ウザイ論を起こさないためにできることを考えてみたいと思います。
これを知っておくと、いざという時に役にたつ・・・かもしれません。
目次
相手が何を問題意識として発言しているかを考える
さて、実際にズルイ、ウザイと言われてしまった時。
瞬間的にムカッとするものの、真っ向から言い返しても却って相手を逆上させてしまったりもするし、特に伝聞系で言ってくる人というのは、その人自身の体験というよりも軽い気持ちの場合も多いはず。
私自身の場合は、「時短勤務の人って子供迎えに行く前にハッピーアワーでビール飲む人いるんでしょ、ニュースで見たわよ」という管理職クラスの女性からの突然の切り込みに、絶句したことがあります。しかも働き方の会議中。
と言ったきり、本当にギョッとして固まったのですが、冷静に対処するなら、
- まずは心の中で3つ数えて瞬間の怒りが通り過ぎるのを待つ
- 相手が述べている持論を遮らずに最後まで黙っている(一旦気が済むのを待つ)
- 何に問題意識を持っての発言か推測してみる
特に3つ目が重要だと思います。
その人はなんでそんな言い方をしてくるのでしょう?しかも、ワーママのあなたに。
- 周囲にいるワーママの残務処理をやらされている感でうんざりしている
- 自身の私生活に満足できない部分を属性が違う人にぶつけて発散している
- 軽い気持ちで伝聞系の発言をしていて、深く考えていない
他にもあり得ると思いますが、こういった本人の問題意識に加えて、相手が管理職であるかにも気を配るようにしています。
ズルイと言われた時の私の対処法3つ
相手が話しても分からなそうな相手の場合(役職問わず)
ワーママがズルイ・ウザイ論を伝えてきた人の問題意識が、「自身の私生活に満足できない部分を属性が違う人にぶつけて発散している」と思われる場合。管理職・非管理職問わず。
このタイプは何を言っても無駄なタイプと判定します。
ワーママというのは、ハタから見るとリア充な存在です。本人たちはこんなに毎日慌ただしく自分の時間もなく必死なのに。
結婚していて、家庭があって、子供もいて、仕事もしている。
って属性だけ聞くと結構揃っていませんか?
夫が毎日飲み歩いて帰ってくるとか、帰ってきても携帯を触っているばかりで家事をやらないとか、子供がイヤイヤ期で毎日が戦いだとか、思いっきり仕事をしたい気持ちを抑えて16時に退社しているとか、逆に本当は家で子供との時間を大切にしたいけど様々な事情で働かざるを得ないとか。そういうワーママの日頃の悩みは全て無視して、ハタから見るとリア充なわけです。
ワーママではないほとんどの人は、こうした隣の芝は青い的な羨ましさを心にしまっているわけですが、たまにそれを出してきてしまう人がいる。
管理職だろうが非管理職だろう が話題の目的は憂さ晴らしと思われる場合、真面目に聞くだけムダ、というのが私の考え。ひたすら頷いてから。
とかなんとか、意味不明な言葉で締めくくって話題を終わらせます。
だって、結論なんて無いんだもん。真剣に聞くよりも、自分の心を守る方が先。「あ、この人聞いてくれない人だ」認定されたら、再び話題にされるリスクも下げられるからラッキー。
相手が管理職以上の場合
ワーママがズルイ・ウザイ論を伝えてきた人の問題意識が、憂さ晴らし以外で相手が管理職の場合に限り、私は正論を返します。
- 周囲にいるワーママの残務処理をやらされている感でうんざりしている
- 軽い気持ちで伝聞系の発言をしていて、深く考えていない
全く異なる問題意識であるどっちのパターンにも適用。
管理職というのは、課長などの役職についていないライン管理職であっても「会社側」の人。仕事をするにあたっては、経営の目線から考え、行動することが求められます。
と言った感じで結構正面から行っちゃいます。
前述の会議中に自分が言われた例は、「軽い気持ちで」「管理職が」言ってきたので、正論返しをしました。そこで相手が黙り込んでしまって終了しましたが、管理職としては、問題意識の矛先がワーママと言うのは恥ずかしいと認識してもらうのが到達点です。
相手が非管理職の場合
相手が非管理職でお悩みの場合は、逆質問から始めます。
ワーママズルイ論を展開するのは女性であることが多いですが、多くの女性がそうであるように不満を聞いてあげるだけでもだいぶ本人の心は軽減します。
その上で、問題の発生原因がワーママ本人にあるとは限らず、マネージャー側にあることを認識してもらえるよう、質問を重ねます。
ここで注意すべきは、「そうか、問題解決はマネージャーがすべきなんだ」と本人に気づかせること。管理職の時のように正論をぶつけても心は閉じてしまう。相手が管理職ならそれは相手の問題だけど、そうではない場合は何らか新たな視点を与えるのもありかも。
だいたい、ワーママがズルイだうざいだ、はたまたもう少し柔らかく「困ってるんです」問題が発生している場合は、マネージャーが機能していなかったり、業務量がオーバーフローして危機的な状態に陥っていたりと組織が問題を抱えていることが多い。あるいはごくごく一部の問題児ワーママ(これは本当に一部だと思う)に当たってしまった場合。
組織として対応するのではなく、社員同士が問題解決をしようとしている限り、絶対に矛先は関係ないワーママも十把一絡げに「ウザく」なってしまうので、問題を整理して正しい矢印の先をお伝えするのが到達点です。
対処法を色々と書いてきましたが、そもそもズルイだうざいだ言われないようにするのが一番ハッピーですよね。個人的には、矛先が自分に向かないように3つ実施しています。
自分自身がズルイうざいと言われないために出来ること
いない時間に起きたことに不満を述べない
私は本来、仕事は自分でやりたいタイプですが、復職する時に誓ったこと。
これは、昔、子供を持つずっと前に、同世代の女子社員から「私がいない時間にモノゴト決めないで」と言われてうんざりした、と聞いたことを反面教師にしています。
物理的にいない時間があるのだから出来ないことがあって当たり前。それはワーママ自身が人生の選択をした結果として付いた制限であって、会社も周囲もサポートしてくれていることを忘れてはいけません。
決まったことや、やっておいたことを伝えられたら、とにかくにとにかく、どんなに小さなことでも感謝する。
感謝した上で腑に落ちない部分があれば、
いない時に決まったことに納得がいかなかったとしても、即否定はせず、まずは背景と決断のプロセスを確認するようにしています。そこで疑問に思うことがあれば伝えればいいし、相手が「あ、その点見逃していた」という部分があれば、自然と検討し直しになるので、とにかく焦らないよう心がけています。
いる時のパフォーマンスを最大化する
もう1つはシンプルに、
「あの人、働く時間は短いけどいてくれてよかったよね、いないと困るよね」
を作り出すことを常に意識しています。
この認識さえ獲得できれば、やり残した仕事を引き継いでもそれを「ウザイ」と思ったり、のんびり仕事していて「ズルイ」と思われることもありません。
どこの職場だって人員不足、ワーママだって戦力になっているはずです。だったらしっかり戦力であることを示すこと。ちょっとのアピールです。
具体的に実践しているのは、この辺り。若干の必死ですアピール、融通効きますアピール。重視しているのは、「あ、あの人働きたいんだけど無理なんだな、でも最大限やってるんだな感」の醸成。
- 勤務時間を過ぎても帰りの電車ギリギリまで粘る(私は16時13分まで)
- 時間内に仕上げたものは敢えて周囲に伝える
- どうしても周囲が困っていて必要な時はお迎えを頼んで融通を効かせる
- 帰宅後の電話会議(米東海岸と20時半〜)も都合がつけば引き受ける(やり過ぎ注意)
仕事を人と共有している場合は、他にも、
- 誰が見てもわかる書類整理にする
- マニュアル化を徹底する
あたりも効果があると思います。
個人的には「働くママこそ社携帯で生産性アップ(前編)」という記事でご紹介した会社携帯を支給してもらうのもオススメ。
組織的なサポートができているかマネージャーと話す
最後に、マネージャーに「組織として対応するよう働きかけること」これもワーママ自身ができることです。
帰宅時間が早いと誰が残業しているか見えない部分もあり、誰に負担がかかっているのか分からないのはワーママになって気づいたことの1つ。人事にいると残業時間が丸見えなので、労務データを調べていて周囲の残業の多さに驚いたことがあります。
それとなく、業務量が多い時期には「昨日何時までいたの?」と聞いてみると様子を把握できます。
その上で、自分のやり残した仕事で長時間残業になっている人がいるようであれば、本人に聞く以外にも他の人との分担をリーダーやマネージャーに相談してみたりと働きかけてみたいところ。
実際に改善されるかは、マネージャーの力量に寄るところがあって、何を言っても伝わらない系の上司だと楽観的に働きかけることも出来ないかもしれませんが。直属のマネージャーがダメなら隣のマネージャーに相談してみる程でその上を動かすなど、ワーママ本人の働きかけで業務分担が見直されたり、増員されて残業が解消されれば、矛先が自分になることは軽減できます。
まとめ:時短ズルイ論のために人事が出来ること
以上、私なりの対処法を書いてみました。
- ワーママズルイ論ウザイ論を述べる人の問題意識に目を向けてみる
- 相手が管理職かどうかで対応法を変えてみる
- 問題の矛先がワーママではないことに自ら気づいてもらう
ことで、自らの心を守りながら矛先を正しくマネージメントに向けると、ずるい論ウザイ論が実はお門違いなことが分かってもらえると思います。
その上で、
- 自分の都合で発生している制約に不満を述べない
- いる時のパフォーマンスを最大がさせて時に融通を効かせながら
- 必要に応じて組織として対応してもらえるよう自ら働きかける
こうして書いていると、「どうしてワーママばかりこんなに努力して肩身の狭い思いをしなければいけないんだろう」という疑問が湧いてきます。
確かにそうなんです。給料は時短分カットされて、あちこちにいつも頭を下げて、申し訳なさがって。報われない気がします。
でも、今、パフォーマンスを意識しなければ先の長いキャリアの中で「あの人は家庭を理由に頑張らない認定」されてしまったことがキャリアにひびくリスクが私は怖い。
人事制度を先進的な企業からお聞きしたり、コンサルタントさんと話していると報酬は年齢や働く時間で決めるよりも、役割や成果で決める会社が増えてきています。これって、持てる時間を最大限に活かして働こうとしているワーママに「時間ではなく成果で」評価してほしいという一番の報われ感ではないでしょうか。
最後までお読み頂きありがとうございます。